公開:2022.12.17 04:31 | 更新: 2023.09.28 10:06
(開催日:22年12月17日)
みずから考える上映会は、水環境や自然環境に関するSDGsや社会課題をテーマにした映画の上映会。みんなで映画を見て、私たちの生活と自然環境とのかかわりや課題を知り、何ができるのか考えるきっかけにするイベントです。
今回は、20代~70代まで、幅広い参加者の方たちと一緒に、映画『ダムネーション』を見ました。
ダム建設が盛んにおこなわれた約50年前のアメリカ。
その影響で、近隣の地域では、鮭が川を上れなくなったり、豊かな自然が破壊されてしまった様子が映し出されていました。
その状況を憂いて“川をとりもどせ”といったメッセージをダムに大きくペインティングした活動家も現れ、それを見た人たちが徐々に「ダム」という存在自体に注目していきます。
そして、その活動が実を結び、ついに利益を生んでいない無駄なダムが取り壊されることにもつながりました。
ただ、この映画ではダムをすべて取り壊せ、ということを伝えてはおらず、
一つひとつを精査して、本当に役に立っていないものはなくして自然の状態に戻すべきだ、と語られていました。
ダムが取り除かれた後、生き生きと命を取り戻していく自然の回復力にも驚かされます。映画の中の「自然は何もしなくてもいい。」という言葉の通りでした。また、「川は血管に例えられる。生命は死ぬ前に血がほとんど通わなくなる。自然も同じだ。」という語りがあり、人間が作るものが自然に及ぼしている影響を改めて考えさせられました。
今回も上映後に参加された方からさまざまな感想をお聞きできました。
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・発電の意味合いでは、日本ではまだダムが必要な面もあるかと思う。小規模な水力発電も昨今ではあるらしいと聞いている。
・ちょうど最近ダムに関心を持っていた。きっかけになったのは九州豪雨で災害のあった熊本県の川辺川ダムだった。こちらは今回の映画と逆で、豪雨災害によって知事の意見がダム反対から賛成の立場に変わっている。災害のことを考えるとダムの問題は難しい。
・50年間はダムをつくってきていた。同じように時代と合わなくなっていることは他にもあると感じる。当時はみんなの生活のためを思ってされてきたことでも、時代に合わせていかなくてはならない
と自分は思っている。
・時代時代で求められていることがあると思う。防災を考えつつも、ダムについては利権問題もちらつく。その時々で最善と思われることをやっていくのが良いと思う。希望が見えた。
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時代に合わなくなってきているモノ、考え方というものは確かにあるのかもしれません。
すべてが是、すべてが非ということではなく、ひとつひとつ、過去から受け継いだものを精査していくときが来ているのかもしれません。
本レポートを書いているスタッフは「残したい未来は何なのか」という作品中の言葉が心に残りました。
みなさまにはどんなことが心に残りましたでしょうか。
こちらのみずから考える上映会 映画『ダムネーション』は次回12月20日(火)開催です。ぜひご参加ください。