公開:2023.08.22 09:43 | 更新: 2023.08.22 12:47
(開催日:2023年8月18日)
今回は、日本の水と環境を守っている「公益社団法人 全国上下水道コンサルタント協会 関西支部(関水コン)」主催、また大阪市の下水道技術と伝統を継承し国内外の下水道事業に幅広く貢献している「クリアウォーターOSAKA株式会社」共催のイベント。下水道のお仕事のプロのみなさんが下水道科学館で、水の科学実験を開催してくれました。
会場に到着した子どもたちは、AとBのグループに分かれて席に座りました。
まずは、座学のお時間です。株式会社日水コンの岡野さんが、下水道の役割についてお話してくれました。
「下水道の役割は何でしょうか?」子どもたちに問いかける岡野さん。
下水道には、「街をきれいにする」「浸水から街を守る」「きれいな水辺をつくる」という3つの役割があります。トイレの水が下水道に流れているおかげで、街をきれいに保つことができています。また雨が降った時には、その雨を川や海に排水して、浸水から街を守っています。そして、家庭や学校などから出る汚れた水をきれいにして、水辺がきれいになって、魚や水鳥が住みやすい環境になります。
岡野さんが「下水道に流れるものはなんでしょうか?」と質問すると子どもたちからは、「お風呂の水」「汚い水」「下水」という返答がありました。
私たちの生活排水には、トイレの水や台所の水、洗濯の水やお風呂の水などが含まれています。さらに、雨水や工場から出る汚れた水も、下水道管を通って下水処理場に集まり、きれいになって川や海に返されます。
次に、クリアウォーターOSAKA株式会社の有薗さんが、下水に溶けた汚れをどのようにしてきれいにしていくのかを話してくれました。
「下水道は街や水辺をきれいにして守る大事な施設です。下水の中のごみや汚れを沈めて取り除いて、きれいになっていきます。ただ、下水の中には、沈んでいかない水に溶けた汚れもあります。」
「下水に溶けた汚れは、微生物が食べてくれます。微生物は汚れを食べて増えて、また食べる。これを繰り返して水をきれいにしています。」
「皆さんは微生物がどんな生き物か知っていますか?」有薗さんが、子どもたちに聞くと「目に見えないくらい小さい生き物」という素晴らしい答えがかえってきました。
「微生物は下水処理場の反応槽の中、活性汚泥の中にいます。」どんな微生物がいるのか、有薗さんが紹介してくれました。
「クマムシは0.01~0.1cm。3回脱皮して大人になります。最後の脱皮でカラに卵を産みます」
「エピスティリスは0.005~0.009cm。木のような見た目をしています。頭のてっぺんに口があります。」
「ツリガネムシは0.007~0.008cm。1本だけで生きていて、頭だけで泳いでいくこともあります。」
などなど、色んな微生物を紹介してくれました。座学はここまで。次は実際に実験です!
ここからは水の科学実験と微生物の観察の時間です。水の科学実験は、表面張力(ひょうめんちょうりょく)と大気圧を利用して、水の性質や知識を深めていきました。コップの中に水を入れて、その上に普通の紙を置きます。そしてひっくり返すと…。
こぼれません。表面張力が水をコップの内側に引っ張り上げようとしていて、下からは大気圧が水を押し上げようとするため、こぼれ落ちようとする水の重さ(重力)よりも大気圧+表面張力を合わせた力の方が大きいため、水がこぼれないのです。
この実験は、網でも行いました。こちらもコップと同様の力が働き、逆さにしても水はこぼれませんでした。子どもたちは不思議そうに、下から容器を眺めていました。
もう一つの水の科学実験は、活性炭による脱色です。
活性炭を入れたフィルターの上に青色の水を入れます。すると、ほぼ透明になった水がポタポタと落ちてきました。これは下水道で微生物が汚水を処理している工程に近いものになります。
水に溶けた汚れは、まず最初に「吸着」されることで、水の中から取り除かれます。
活性炭を使った実験では「吸着」の力が作用して、汚れを取っていきます。活性炭には細かい穴が沢山空いており、そこに汚れ成分が吸着してきれいになっていきました。穴が少ないと汚れもあまり取れません。
子どもたちはじっと見つめて、話を聞いていました。
微生物の観察では、実際に顕微鏡を使って、汚泥の中にいる微生物を探しました。
顕微鏡とモニターをつなげてくださり、みんなで観察もできました!子どもたちは、微生物を発見すると、「うわ、めっちゃ早い」「この生き物は何?」と驚いた様子でした。
水の教室のラストは、「うんこクイズ」。
うんこがどのように下水処理されてどうなっていくのか、4つのクイズに答えてもらいました。
例えば、「君の1年分のうんこで作った電気で10WのLED電球を●●●●ぐらい照らすことができる」
この●●●●の部分を4択の挙手制で答えてもらいました。この問題の答えは約1か月でした。自分の身近なものが、科学的な視点になるととても面白いですね。
普段はあまり意識しないけれど、生活に欠かせない下水道について、座学や実験を通して理解を深めていきました。また、水の性質についても知識が深められたのではないでしょうか?
今回のイベントにご参加くださったみなさま、関水コン・クリアウォーターOSAKAのみなさま、どうもありがとうございました!