大阪市下水道科学館

イベントレポートEVENT

  • 2023年8月
  • 水の科学実験

公開:2023.08.20 07:24 | 更新: 2023.08.22 06:51

いつもよりひんや~り☆水うちわをつくって涼もう―イベントレポート

イメージ画像イメージ画像

(開催日:2023年8月13日)

 8月の中旬、夏真っ盛りの中、何か少しでも涼しくなるようなイベントができたら・・・それも当館らしいもので、と考えを巡らせていたところ、「水うちわ」というものがあることを知りました。

なんでも岐阜県の伝統工芸品とのことで、うちわの骨に雁皮紙(がんぴし)という非常に薄い和紙を貼り、ニスを塗って仕上げてあるのが特徴のうちわです。水に浸して気化熱を利用して、普通に扇ぐよりも涼しい風を感じられるのだそうです。

”気化熱”という「水の性質」のお話と「つくってあそべる」。これは館にぴったり!しかも電力も使わず涼めるエコなアイテムです。

本物の水うちわは向こう側が透けて見えるほど透明感があって見た目にも涼しげです。

やはり会場のみなさんは水うちわはご存知ないようで、興味津々の様子で聞いていただけました。

プリントやスライドを使ってお話

まずは気化熱を体験してもらいました。

みんなには熱めお湯が入った霧吹きを、それぞれ空中に向かって吹きかけて、そこに手を入れると・・・「お湯なのに冷たい!」とびっくりしていました。とても暑い日だったので「ずっと吹きかけていたい」という声も。

そう、水は蒸発する時に周りから熱を奪うんです。これが『気化熱』と呼ばれるものです。この性質を利用した身近なものとしては、暑い日に玄関先などに水を撒く”打ち水”や、最近街中で見かけるミストなどがありますね。

そして水うちわです。

材料は今回なるべく本物に近いものを、と雁皮紙やセラックニスを使用しました。セラックニスは聞きなれないかもしれませんが、バイオリンやアンティーク家具の塗装によく使われるものです。

ラック貝殻虫という昆虫が樹木に寄生して樹液を吸い、体外に分泌した樹脂からできた天然のニスです。

なんとチョコレート菓子のコーティングにも使われるほど安全性が高いもの。

販売されている水うちわは透明のニスですが、今回は茶色いニスを使いました。塗るとまさにアンティーク調!とても大人っぽいものになりました。

オリジナルうちわはアンティーク調!

今回、本当は和紙を貼るのはもちろん、せめてニスはみなさんに塗ってもらいたかったのですが、ニスはとても安全性が高いながらも揮発性が強いもので、試作段階でもそれを感じました。お子さん達にはもしかして刺激が強いかな?体調に影響するかな?と心配になり、安全を考慮してニスまでは私たちが塗った状態でお渡ししました。苦渋の決断です。泣

「職人さんみたいにきれいには塗れてなくて手作り感満載だけど、みなさんによろこんでもらいたくてスタッフが一生懸命つくりました。」とお伝えすると、「手作り感ある~」と冗談を言いながらも大事そうにしてくださいました。みんな優しい!

そこでみなさんには、夏休みの思い出やメッセージなどを自由に書いて、自分だけのうちわに仕上げてもらいました。

「花火を見た」「海に行った」などの思い出を絵にしたり、言葉を添えたり。また、アンティークな雰囲気に合わせておしゃれなロゴを書いたりしている子もいました。この日の記念に下水道科学館の文字や日付を描いている子も。

思った以上にどんどん描き進めていて、お子さんたちのクリエイティブな力を今回も感じました。

世界にひとつのうちわができたら、いよいよ水にぬらして扇ぎます。

「え!?冷たい!!」「涼し~」と、飛んでくる水にはしゃぎながら、会場が盛り上がっていました。

「気化熱や水うちわのことが知れてよかった」「聞いたことがないことなどを知ったり体験出来てすごく楽しかった」「持って帰って使います!」など感想をいただきました。

お盆休みの貴重な時間に来てくださったみなさん、ありがとうございました。帰省で遠くから来てくださったご家族もいらっしゃいました。

みなさんの夏休みの思い出になったらうれしいです。

いつもよりひんや~りしたかな?