大阪市下水道科学館

イベントレポートEVENT

  • 2023年9月
  • どなたでも
  • 企画展

公開:2023.09.30 01:06 | 更新: 2023.10.16 12:24

<プロに学ぶお仕事トーク>「トイレから下水道までをつなぐ排水設備は、私たちがキレイにする!?」―イベントレポート

(開催日:9月9日・9月24日)

 9月9日~9月24日まで、下水道の日に関連した企画展「私たちの生活と下水道をつなぐ管」を開催しました。本展では、私たちの生活と公共下水道をつなぐ管(排水設備)にスポットをあて、パネル展示や、トークイベント、トイレや排水管の模型を使った実験などさまざまなプログラムを実施しました。

今回のプログラムは、普段排水管などの設備施工をされておられる株式会社三晃空調のワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センター長の西山繁和さんにご協力いただき、実際にご家庭に設置されているトイレと排水管の模型を使用しながら、プロによるお仕事トークを行っていただきました。

身近な排水管についてお話してくださった西山繁和さん

 まず会場に集まった子どもたちに、西山さんは「トイレの水が流れるのはなぜでしょう?」と問いかけました。すると「トイレの力!」や「水の力!」といった返答がありました。

「実はトイレの排水管は勾配がついていて、トイレの水と一緒にうんちやトイレットペーパーを押し流すために、1mの長さに対して1cmだけ高くなっています。水は高いところから低いところに流れるんです」と教えていただきました。排水管の勾配は、水平器で図って設置しています。水平器を初めて見た子もいたのか、身を乗り出して見ていました。

排水管の勾配についてのお話
水平器に興味津々の子どもたち

 西山さんのお話で驚いたことの1つに、「おうちの下の排水管は個人の財産になる」という事実がありました。詰まってしまうと自費で修理を頼まないといけません。普段の生活でも、排水管が詰まってしまう原因になりやすい行動があります。

詰まりの原因は現代の生活様式にも関係しています。1960年代のトイレは1回のレバーで約20ℓもの水を流していました。2006年頃からトイレは節水型に移行し、展示されているトイレでは、1回流すと5~6ℓの水が流れます。節水はできているものの、排水設備自体は昔のままなので、トイレットペーパーが下水道にまで流れず、排水管に残るようになってしまいました。

模型に水を流して、実際の水の流れを確認しました。

特に海外のトイレットペーパーを使用してしまうと、日本のトイレでは流れにくいです。なぜかというと、海外ではトイレに流さずにそのまま捨てることが多いため、紙が厚いそうです。

皆さんはキッチンのシンクに、カップラーメンの残り汁などをそのまま流してしまってはいませんか?流れた汁は排水管を通っていく中で、冷えて油として固まってしまいます。そこにお風呂場から髪の毛などが流れてくると、その油に絡まって詰まりの原因になります。

また、キッチンなどを掃除する際にぬめりがあると、熱湯をかけて滅菌してはいませんか?熱湯(約60°~70°以上)を流してしまうと塩ビ素材がある排水管が変形してしまうことがあるのでこちらもNGです。

西山さんのお話にも熱がこもります。
こちらは小学校や映画館などで使用されている構造
構造を理解するために水を流して検証

もう一つの排水管模型では、大型施設で使用されている構造のもの。小学校では夏休みなど、しばらくの間トイレを誰も使わない状況になると、流れなかった紙が管に固まって取れなくなってしまうとのことでした。

排水管のつなぎ目の部分では、流したトイレットペーパーが厚いと詰まって別の排水管に逆流してしまうという衝撃的なお話もありました。「日本は水が豊富で流す文化があります。海や川を大事にしましょう!」西山さんはとても大事なことを教えてくださいました。

まずは身近なところから、文化的な面で水の使い方を考えていきましょう。

子どもたちにも、トイレの水を流してもらいました

企画展をご覧いただいた方々、今回のイベントに参加くださった皆様。たくさんのご参加ありがとうございました。